高配当株投資の罠

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高配当株に投資していて、一番ショックなのは「減配」ではないでしょうか。

配当利回りが高いと思って買ったのに、翌年に配当が半分になり、株価まで大きく下がってしまう。配当金で資産を増やしていくスタイルでは、これが最も避けたい失敗です。

ただ、減配は突然起きるように見えて、実は決算書に前兆が出ていることが多いです。この記事では、減配しやすい会社に共通する7つの特徴と、そのチェック方法をまとめました。

減配とは?

減配とは、会社が1株あたりの配当金を前年より減らすことです。配当をゼロにすることは「無配転落」と言います。

減配が発表されると、配当目当てで株を持っていた投資家が一斉に売るため、配当が減るうえに株価も下がるという二重のダメージを受けやすいのが特徴です。

減配しやすい会社の7つの特徴

1. 配当性向が高すぎる

配当性向とは、純利益のうち何%を配当に回しているかを示す数字です。

配当性向(%)= 1株あたり配当金 ÷ 1株あたり純利益 × 100

配当性向が100%を超えている場合、稼いだ利益以上の配当を出していることになります。一時的なら問題ありませんが、何年も続くと内部留保を取り崩すことになり、いずれ配当を維持できなくなります。

目安としては、多くの業種で配当性向30〜50%程度が一般的です。70%を超えてくると、利益が少し減っただけで減配の可能性が高まるので注意が必要です。

2. フリーキャッシュフローで配当をまかなえていない

利益は会計上の数字なので、利益が出ていても手元に現金がないことがあります。配当は現金で支払うため、本当に見るべきなのはフリーキャッシュフロー(FCF)です。

フリーキャッシュフロー = 営業キャッシュフロー + 投資キャッシュフロー

FCFが配当金の支払総額を下回る状態が続いている会社は、借入金や手元資金の取り崩しで配当を出している可能性があります。これは長くは続けられません。

キャッシュフロー計算書の「財務活動によるキャッシュフロー」の中に「配当金の支払額」が載っているので、FCFと並べて比較してみてください。

3. 配当方針が「業績連動型」になっている

会社の配当方針は、決算説明資料や中期経営計画に書かれています。ここで次のような書き方をしている会社は要注意です。

  • 「配当性向30%を目安とする」
  • 「業績に応じた利益還元を行う」

これは裏を返すと、利益が減れば配当も自動的に減るという意味です。業績が好調な時期に高配当になっていても、その配当水準がずっと続くとは限りません。

逆に、次のような方針を掲げている会社は、減配しにくい傾向があります。

  • 累進配当(減配せず、配当を維持または増やす方針)
  • DOE(株主資本配当率)を基準にした配当

DOEについては、DOE(株主資本配当率)とは? 配当性向との違いと、減配しにくい理由をわかりやすく解説で詳しく解説しています。

4. 景気や市況の影響を大きく受ける業種

海運、鉄鋼、化学、資源、半導体関連などの景気敏感株は、好況期と不況期で利益が大きく変わります。

好況期には利益が膨らみ、配当利回りが非常に高く見えます。しかし市況が落ち着くと利益が大きく減り、業績連動型の配当方針と組み合わさって大幅な減配になりやすいです。

景気敏感株の配当利回りを見るときは、「今の利回り」ではなく、不況期を含めた過去10年くらいの配当の推移を確認するのがおすすめです。

5. 借金が多い、または増え続けている

有利子負債が多い会社は、金利が上がると利払いが増え、配当に回せるお金が減ります。業績が悪化したときに、銀行から借入金の返済を優先するよう求められることもあります。

チェックポイントは次の2つです。

  • 自己資本比率が低すぎないか(業種によって目安は違います)
  • 有利子負債が、毎年増え続けていないか

自己資本比率についてはこちらの記事も参考にしてください。

6. 一時的な利益で増配している

不動産や保有株の売却益など、本業以外の一時的な利益(特別利益)で純利益が膨らみ、その年だけ配当を増やしているケースがあります。

翌年にはその利益がなくなるため、配当も元に戻る、つまり減配になります。

また、「記念配当」や「特別配当」は、もともと一回限りの配当です。これを含めた配当利回りで計算すると、実力以上に高配当に見えてしまうので注意してください。

7. 利益の「質」が悪い(決算のお化粧の疑い)

会計上の利益は、会計処理の仕方である程度よく見せることができます。いわゆる「決算のお化粧」です。

利益をよく見せていても、現金は増えないため、いずれ配当の原資が足りなくなります。次のようなサインがあったら注意しましょう。

  • 純利益は増えているのに、営業キャッシュフローが増えていない、または減っている
  • 売上の伸び以上に、売掛金や在庫が急に増えている
  • 会計方針の変更や、特別利益が毎年のように出ている

決算のお化粧については、決算のお化粧とは?で詳しく書いていますので、あわせて読んでみてください。

「配当利回りが高すぎる」こと自体がサイン

ここまでの特徴に当てはまる会社は、市場からも減配を警戒されていることが多いです。その結果、株価が下がり、見かけの配当利回りだけが異常に高くなることがあります。

同じ業種の他社と比べて利回りが突出して高い場合は、「お買い得」ではなく、「何か理由があるのでは?」と疑ってみることが大切です。

減配リスクのチェックリスト

買う前に、次の項目を確認してみてください。

チェック項目 確認する場所 注意したい状態
配当性向 決算短信 70%超が続いている、100%を超えている
FCFと配当総額 キャッシュフロー計算書 FCFが配当総額を下回る年が続いている
配当方針 決算説明資料・中期経営計画 業績連動型で、累進配当やDOEの記載がない
業種 会社概要 景気敏感株で、好況期の高い利回りになっている
有利子負債 貸借対照表 毎年増え続けている、自己資本比率が低い
特別利益・記念配当 損益計算書・配当予想 一時的な要因で利益や配当が膨らんでいる
利益の質 損益計算書とキャッシュフロー計算書 純利益が増えているのに営業CFが増えていない

すべてに当てはまらない会社を探すのは難しいですが、3つ以上当てはまる会社は慎重に考えるのが良いと思います。

まとめ

減配しやすい会社の特徴をまとめると、次の7つです。

  1. 配当性向が高すぎる
  2. フリーキャッシュフローで配当をまかなえていない
  3. 配当方針が業績連動型
  4. 景気や市況の影響を大きく受ける業種
  5. 借金が多い、または増え続けている
  6. 一時的な利益で増配している
  7. 利益の質が悪い

高配当株は、配当利回りの高さだけで選ぶと、減配で痛い目にあうことがあります。「その配当は、本業で稼いだ現金から、これからも払い続けられるのか?」という視点で決算書を確認してから投資するようにしましょう。

※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。

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